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江戸に幕府が開かれた当初、とても田舎で百姓も漁師も多くないのに人口が爆発的に急増し、それに対応する食料が不足したそうです。様々な打開策の中に、伊豆半島で捕獲された大量のボラを押送船という高速船で輸送する策がとられました。伊豆の押送船は幕府御用達の旗を掲げ、浦賀の沖も素通りできたそうです。
ブリと同じように、ボラは成長と共に名前の変わる出世魚ですが、ボラの呼び名は日本語の表現にもなっています。小魚の状態からオボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トドとなりますが、可愛くて初々しい子供のことを「オボコだね」と表現したり、「粋でイナ背な」は元気な若者のことを表します。威勢のいい江戸の魚河岸の若者に流行っていた髷がイナの背中の様だったからとも言われています。また、「トドのつまり」はこれ以上(大きいもの)は無いという表現でボラが使われています。今でも使う表現ですから、よほど親しまれた魚なのでしょう。
ボラの卵巣は日本三大珍味のひとつのカラスミに加工されます。江戸の町の食糧を支え、日本語の表現として数百年も馴染まれ、高級珍味として楽しませてくれる。ボラは日本を代表する魚です。
汽水域にも生息するため、内湾のボラは臭いと言われますが、外海に生息するボラは沖ボラと呼ばれ、匂いも無くとても美味しい魚です。伊豆半島では時折鮮魚店で売りに出ますが、値段も安く、間違いなく買う魚です。
鯔
Flathead gray mullet
Mugil cephalus cephalus
撮影地:静岡県伊東市、賀茂郡、沼津市
©aquatic pro / dive@azarasi.jp
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【 ボラ 】八百八町の出世魚 Mugil cephalus cephalus
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