Syukichi Mitsukuri (1895-1971, Japan)
箕作秋吉: 芭蕉紀行集
00:00 1. 野ざらしを心に風のしむ身かな (野ざらし紀行)
Nozarashi wo Kokoro ni kaze no Simu mi kana
00:48 2. 馬にねて残夢月遠し茶のけむり (同)
Uma ni nete Zanmu tsuki tohshi Cha no kemuri
01:28 3. 海くれて鴨の声ほのかに白し (同)
Umi kurete Kamo no koe Honokani Shiroshi
02:13 4. 冬の日や馬上に氷る影法師 (笈の小文)
Huyu no hi ya Bajou ni kooru Kageboushi
02:53 5. あらたふと青葉若葉の日のひかり (奥の細道)
Aratou to Aoba wakaba no Hi no hikari
03:41 6. 閑かさや岩にしみ入る蝉の声 (同)
Sizukasa ya Iwa ni shimi-iru Semi no koe
04:28 7. 荒海や佐渡によこたふ天の川 (同)
Aranami ya Sado ni yokotau Ama no gawa
04:59 8. 五月雨の空吹きおとせ大井川 (元禄七年紀行)
Samidare no Sora fuki-otose Ōigawa
05:29 9. 菊の香や奈良には古き仏達 (同)
Kiku no ka ya Nara ni ha huruki Hotoke tachi
06:15 10. 旅に病で夢は枯野をかけ廻る (元禄七年辞世)
Tabi ni yande Yume ha kareno wo Kake-meguru
《芭蕉紀行集》であるが、その原作歌曲は1930年10月から1931年6月までの間にピアノ伴奏の歌曲としてまず完成され、1937年と1047年の2回にわたってオーケストレーションがなされている。この録音は後者によっており、「音楽芸術」1949年9月号別冊付録として刊行された楽譜によって演奏されている。
1937年版の初演はルネ・バトン指揮、パリ放送局の「夜のコンサート」番組で1937年12月10日に行なわれており、1947年版はおそらくISCM(国際現代音楽協会)の第24回世界音楽祭に個人エントリーの形で提出され、上演された1950年6月27日、ブリュッセルでの演奏が初演であろう。その後1951年8月13日作曲者指揮の東フィル、1955年8月10日ウィスコンシンでソア・ジョンソンの棒、1958年ニューヨークでストコフスキーの指揮、1969年1月24日札幌交響楽団第80回定期に山岡重信指揮でそれぞれ演奏されている。
箕作の作品には西洋音楽の影響下にある系列と東洋音楽の和声体系によるものとあり、また音律論から出発した独自の和声論、和声観を彼は抱いていた。それらは1949年に出版された「音楽の時」にくわしい。《芭蕉紀行集》では東洋的和声の種々相が展開されている。
芭蕉の句にふさわしいごく短小な10の楽章が、対照の妙を発揮するように配列されており、各曲はいずれも作曲者独自の東洋和声に拠っている。原曲は上述のように歌曲であり、その歌のパートをこの「音詩」では曲によってアルト・サクソフォン(第1、4、10曲)、あるいはホルン(第2、3、7曲)、またはトランペット(第5、6、8、9曲)が受け持つ。
(柴田南雄、一部省略・改変)
Yomiuri Nippon Symphony Orchestra
Shigenobu Yamaoka, conducting
Recorded: December 13, 1971 at Tokyo Yubin Chokin Hall
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